怒りを適切に表現することの重要性

私たち人間の多くは、「怒り」の感情を適切に扱うことが大変苦手です。

多くのケースでは「怒りは悪いもの」「怒りは良くない感情」「怒りは持ってすらならないもの」として、抑圧することを強制されて育ちます。

ですが、そもそも怒りは動物に本能的に備わっている大切な感情で、しっかり認め肯定する必要があるものです。そうせずに抑圧していると、鬱病や身体の病気を発症します。

怒りは境界線の場所を示すバロメーター

怒りとは私たちの命から発せられる純粋なエネルギーで、形態としてはフォース、生命力の一種です。健全な怒りをしっかりと表現できる動物や人間は、生命力が強いです。

動物は、何かされて怒れば、躊躇なく怒りを表現します。牙をむき出しにして威嚇します。これは自分を守るために絶対必要な本能なのです。

怒りが生じるのは、

  1. 自分が必要なものを受け取っていないとき
  2. されたくないことをされているとき

この2つの場合だけです。

怒りとは本来、健全な境界線の場所を示すバロメーターなのです。

自分が必要なものを受け取っていないとき

例えば黒人は、歴史上様々な差別を受け、基本的人権すらも認められず、世界中で奴隷として使役されてきました。基本的人権と労働報酬は、私たち人間が全員受け取る必要があるもので、これを受け取れないときに怒りを感じることは、正当で健全な反応です。

また、自分の持ち物を家族が勝手に使ってしまったという場合、自分の中に怒りを感じるかもしれません。「自分の意志を尊重して欲しい」というニーズが満たされないための正当な怒りです。

「尊重されたいニーズ」は私たち人間が誰でも自然に持っている欲求で、これを無くすことはできません。ですから、あるのは「相手に求めて尊重してもらう」か、尊重しようとしない相手とは付き合わないと決めるか、二つに一つです。

そのどちらの対策もとらないとき、自分の中に怒りが蓄積していくことは、避けられません。

されたくないことをされているとき

自分が望まないものを与えられているとき、されているときも、怒りが湧き上がります。

プライベートな問題に口出しされたり、こちらが嫌がることをされたりするときです。

行きたくもない学校に親の希望で行かされる、就きたくもない職業に親の希望で就かされる、結婚したくない相手と親の希望で結婚させられる、など。

中国や香港では、街中にカメラが設置されていて、顔認証で人々の行動が管理・監視されています。基本的人権を侵害する政府の越権行為で、これに対して怒りを感じることも、正当で健全な反応と言えます。

怒りは自分を満たすために必要なことを教えている

怒りとは本来的に、自分が抱えている不平・不満を認め、解消し、改善する道へと向かう、とても前向きなエネルギーです。

しかし、「怒りは悪いものだ」との価値判断を植え付けられているために、怒りを持ってはならない、感じてはならないと「抑圧」してしまうことから、エネルギーが捻じれたり激化したりするのです。

怒りは絶対に抑圧してはなりません。

まずは自分が怒っていることを認め、「自分が本当に求めているものは何か」を知り、それを「適切に表現」する術を身につける必要があるのです。

怒りを表現する

相手の侵害行為によって怒りを感じている場合、一番大切なことは、相手に「境界線の場所」を知らせることです。

しっかりと適切に表現し、相手が境界線を侵害していることを示さなくてはなりません。自分の怒りを押し殺してなかったことにして、「怒っていないフリ」をしてはいけません。

相手にこちらの不満を伝える一番簡単な方法は、「私、今、あなたに〇〇されて、困っています」とストレートに伝えることです。

多くの場合、相手は自分がしていることであなたが怒っているという自覚がありません。なので、「それは困ります」とストレートに伝えることで「ハッ」と意識が自分へ戻り、態度が改まる可能性があります。

自分と「怒りのエネルギー」が一体化してしまっている場合、なかなか「淡々と」怒りを伝えることが難しいです。「怒り心頭に発して」わめき散らしてしまったり、怒りの感情を相手にぶつけてしまったりします。そうした場合は相手と感情のぶつけ合いになるだけで、こちらの真意が伝わりにくくなります。

こちらの真意と目的は、「今あなたは私の領域を侵害していますよ」と知らせて、侵害行為をやめてもらうこと。まずは、怒りと自分が分離して少し距離を保てるだけの「プレゼンス」を育む訓練を行いましょう。

プレゼンスは日本語にはない概念で、なかなか育むことが難しい資質ではありますが、個別セッションにて体験していただけます。

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